もし、AIの描くマンガのレベルが人と同じレベルになったら。

2024年12月23日月曜日

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  • 最近、AIがマンガを描くようになり、友人でマンガ家の鈴木が「このままだと仕事を失うかもしれない」と不安を口にしている。
  • AIの描くマンガのレベルが人と同じになったら、人は何に価値を感じるようになるだろう。
  • AIの登場によって、作品そのものよりもブランド戦略が重視される時代が到来しているのかもしれない。

AIの描くマンガが鈴木のレベルを超える?

架空の話として聞いてほしい。友人の鈴木は、小学生の頃から絵を描くことが好きだった。努力の末に人気マンガ家となった。しかし最近、AIがマンガを描くようになり、「このままだと仕事を失うかもしれない」と不安を口にしている。

AIの描くマンガの進化が凄まじい!

AIが描いたマンガは絵が非常に美しい。技術の進化も驚異的な速さだ。正直なところ、作画だけを取れば、鈴木の作品に迫る勢いだ。このままでは追い越されるのも時間の問題かもしれない。

人間の描くストーリーは深みがある。

だが、鈴木のマンガには特別な魅力がある。それは、彼の人生や感情が作品に反映されたストーリーだ。AIが描くストーリーは、どんなに巧みに描いても、それはあくまで学習データの集合体でしかない。人間の作品に内包される「深み」のあるストーリーは、AIには再現できないのではないか。

もし、AIの描くマンガのレベルが人と同じになったら

それでも数か月後、実際にAIが描いたマンガを読んでみたら、その考えも変わっている可能性は完全に否定できないだろう。

鈴木のマンガの価値はなくなる?

仮に、絵の美しさだけでなく、ストーリーの構成も練られており、キャラクターにも魅力があるマンガをAIが描きはじめているとする。

多くの人が鈴木の作品よりもAIの作品が面白いと感じはじめた時、「人間の作品における‘深み’や‘価値’とは何なのか」という問いを突きつけるだろう。AIのマンガがそれほど楽しめるのであれば、鈴木の作品を特別視するのは単なる思い込みではないか。

それでも、鈴木のマンガを選ぶだろう

鈴木のマンガを読み返すと、やはり感じることがある。それは、鈴木自身の人生そのものが詰まっているという点だ。挫折や喜び、悲しみといった彼の経験が作品に反映され、それがキャラクターや物語に命を吹き込んでいる。

AIのマンガは技術的に優れていたとしても、その裏にあるのは膨大なデータを基にした計算結果だ。喜怒哀楽を表現することはできても、それを実際に感じたわけではない。一方で、鈴木の作品を読むと、彼が生きてきた時間や想いが伝わってくる。これこそが人間が生み出す作品の本当の価値だ。

ひとはAIより人が創り出したものに価値を見出したい

ただ、これは価値の置き換えとも言えるだろう。もし、AIの描くマンガのレベルが人と同じになったら、AIが持たない人生観や感情といった、およそマンガそのものとは関係のない部分に価値を見出しはじめるのは実に不思議なことだ。これは、もはや人間への信仰に近いものなのかもしれない。

ブランド戦略が重要になる

もし、これまでのようなことが事実なら、マンガ家のブランド戦略が重要になる気がする。

制作者の名前が持つ力

作品の価値は、その優劣だけで決まるものではない。たとえば、「バナナをテープで壁に貼っただけ」のアート作品が話題になった。それはイタリアのアーティスト、マウリツィオ・カテランによるもので、アメリカのオークションで9億円以上で落札された。この作品が評価されたのは、「カテランだから」というブランド価値があったからだ。

鈴木が描いたマンガにも同じことが言える。彼の名前が持つ背景やストーリー、彼自身が作品に込めた想いが特別な価値を与えるのだ。

AIの登場で進化する新しい価値観

こうした視点から考えると、AIの登場によって、作品そのものよりもブランド戦略が重視される時代が到来しているのかもしれない。マンガの質だけでなく、作者への共感や話題性が作品の価値を大きく左右するようになっている世界が爆誕だ。

鈴木のマンガの価値も、彼の人生や物語、そして「鈴木」というブランドが支えているのだ。このように、クリエイター自身がブランドとなり、その存在自体が作品の一部となる未来。それこそが、AIの登場によって進化する新しい価値観なのかもしれない。

まとめ

「人間が作った」という新たな付加価値。それは、もしかすると人間のエゴなのかもしれない。しかし、そのエゴこそが私たちの個性だ。それこそが人間らしさの本質ではないか。この価値を大切に育み、発展させていくこと。それが、これからのクリエイティブな世界で生き残る人間の戦略なのだ。

まあ、フタを開けてみたら、マンガ家が使うツールが変るだけということも十分あり得るが。ちょうど、ケント紙とGペンが液タブに置き換わったように。

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